【概要】
前回は、主語になれる代表格、「冠詞+名詞」で主語を作る作業をしました。
今回は、「冠詞+名詞」に代わる「代名詞」を用いても主語は作れますよ、というお話です。
今日のゴールは、 代名詞とは何か?を理解して、 代名詞で主語を作れるようになること だよ!
基本英文法の全体像の確認
<図1.基本英文法の全体像>
今回は、緑の部分「代名詞」についての基本を説明します。
代名詞の肝
代名詞とは、その名前の通り、「代わりになる名詞」ということです。
何の代わりになるかというと、「名詞の代わりになる」という意味ですから、「名詞の代わりに使われる名詞」ということになります。
つまり、代名詞は名詞の仲間である、ということがとても重要です。
英文において主語になれるのは、名詞の仲間だけですから、代名詞も主語になることができる、ということになります。
「品詞の文の中での役割:なれる・なれない表」については過去記事をご覧下さい。
主語になれる代名詞の12通り
上の図にあるように、主語になれる代名詞の出現パターンは全部で12通りになります。
※「主語になれる」と書いていますが、代名詞は文のなかでの使われ方で形が変わりますので、「主語になれない代名詞」というものが存在します。これは、また別途、段階別ホリスティック・アプローチの第2段階で説明します。今日は、主語を作る作業ですので、「主語になれる代名詞」だけを覚えておけば良いです。
「段階別ホリスティック・アプローチ」は過去記事で。
早速、その12通りを見てみましょう。
<図2.主語になれる代名詞の12通り>
人称とは
ここで、「人称」について簡単に説明します。
人称とは、会話における話し手と、他の人・もの・事柄との関係性を分類した文法用語のことです。
- 1人称とは、会話における話し手(自分)のこと
- 2人称とは、会話における聞き手(相手)のこと
- 3人称とは、それ以外
ということになります。
数の概念(単数・複数)は依然として大事
前回、「名詞を扱う時には、
①単数か、複数かという数の概念 と
②特定されているか、不特定かという概念
2つを同時に考慮しなければならない」と説明しました。
代名詞も名詞の仲間ですから考え方としては同様です。
図にあるように、1人称、2人称、3人称を示す代名詞に、それぞれ単数形と複数形がちゃんと用意されています。
代名詞=名詞は特定されているが大前提
では、特定・不特定はどう表現するのでしょうか?
名詞の場合は、「冠詞」である「a」「an」「the」を名詞の前につけることで、特定・不特定を表現しました。
しかし、代名詞にはもはや冠詞は必要ありません。
なぜなら、代名詞を使うということは、既に、その名詞が特定されていることが大前提だからです。
例えば、りんごについて話しているとします。
「昨日、りんごを買ったんだけどさ~、それがめちゃくちゃおいしくって・・・」
この場合の「それ」が代名詞ですが、この文の中では、「それ」が示すのは、「昨日買ったりんご」ですから、既に「どのりんごについて話しているのか」が特定されています。
代名詞を使う=「その名詞が既に特定されていること」が大前提です。
従って、「a」「an」という不特定であることを示唆する冠詞は付けられませんし、「the」という冠詞ももはや不要なのです。
他、注意点
代名詞に関する、その他の注意点をいくつか説明します。
1.「I」は常に大文字
1人称の単数「I(発音:アイ)」は、必ず大文字を使います。
理由は、固有名詞的意味合いが強いからだと思われます。
固有名詞は、最初の文字を大文字にする、というルールがありますが、「I」についても同様な考えなのではないかと推察する、ということです。
つまり、話し手となる自分にとって「私」は世界に一人しかいません。
ところが、聞き手となる相手「あなた」は、話し相手を変えることで、色々な「あなた」が出てくる可能性があります。従って、「あなた」になることができる人は、世界に一人とは限りません。
2.「you」は単数も複数も同じ単語
2人称の単数「you(発音:ユー)」と複数の「you(発音:ユー)」は、全く同じ単語で発音も同じです。
単数・複数の区別が付きません。
ここまで、単数・複数にこだわりを見せる英語にしては、とても不可解です。
英語の歴史を少し調べると、元々は、
単数:thou
複数:you
と、単数には別の単語がありました。
ところが、近代英語が形成される少し前の1500年頃、相手を尊敬する場合に、敬称として複数形である「you」を使い始めたそうです。
複数形を使うとなぜ敬いを表現でするのか?という心理的な部分は疑問が残るところですが、まあ、話し相手は目の前にいるので、「あなた」とビシッと個人を特定するより、「あなた方」と焦点をぼかすことで、気を使う感じを出したのでしょう。
いずれにしても、「you」は元々複数形だった、という部分は重要で、主語が単数の「you」であっても、他の人称の複数形と同様のbe動詞を取りますので、なんとなく納得できます。
(動詞については今後説明します)
3.3人称複数の「彼ら・彼女ら・それら」は「they」の一文字だけ
「彼」「彼女」「それ」に対する複数形は、「they(発音:舌を軽く噛んでゼィ)」の一単語しかありません。
どうやら8世紀頃、ゲルマン系の古ノルド語から借用し、それが今まで続いているようで、何の不便も無かったんでしょうね。
「I」や「you」に比べてどんだけ扱いがぞんざいやねん!、と突っ込みを入れたくなりますが、英語的発想からすると、もはや3人称の複数などは重要ではないのでしょうね。
ところが、3人称でも、「これ(this)」「あれ(that)」に関しては複数形がちゃんと存在して、それぞれ「these」と「those」となります。
(発音注意)
「th」の発音は、舌を軽く噛んで発声する音ですので、普段から意識して慣れるようにしましょう。
さあ、主語をつくろう!
以上、代名詞についての説明が終わりました。
これで代名詞を使って主語を作ることができます。
前回説明したように、英語には日本語の「助詞」にあたるものがありませんので、単に図にある代名詞をポンと言えば、主語が完成します。
<図3.主語になれる代名詞(再掲)>
「私は・・・」と言いたければ、「I」
「あなたは・・・」と言いたければ、「You」
簡単ですね。
代名詞:おさらい
最後に今日のポイントを復習します。
1.
代名詞は名詞の仲間である。
2.
名詞の仲間であるので文の主語になれる。
3.
名詞の仲間であるので単数・複数という数の概念が重要で、「you」以外は単数・複数で別々の単語が用意されている。
4.
代名詞を使用する時には、それが示す名詞が特定されているのが大前提であるので、「冠詞」はもはや不要であり、つけない。
5.
1人称単数である「I」は常に大文字。
6.
2人称の「you」は単数・複数同じ単語を使い、区別がない。
7.
3人称「彼」「彼女」「それ」の複数は「they」の一単語だけ。
8.
ところが3人称の「this(これ)」「that(あれ)」の複数は存在し、それぞれ「these」「those」。
以上、代名詞で主語を作ろう!でした!!
次回からは「述語を作ろう!」に入っていきます。
おたのしみに。