【概要】
英語の疑問文と否定文は、「述語パートがどのように作られているか」といった「述語のあり方」で決まります。
通常、学校での授業では、「be動詞の否定文」とか「一般動詞の疑問文」など、一つ一つバラバラに習うので、全体感が分からないまま進むことになります。
しかし、否定文と疑問文の作り方にはパターンがありますので、一気にまとめて習ってしまったほうが理解が断然速いです。
今回から2回に分けて、その方法をお見せします。
まずは、否定文の作り方を一気に見てみます。
このブログでは「基本英語の全体像」を何度も示しています。
それは、文を作る時の順番を意識したもので、「今、どこの何を勉強しているのか」が常に分かるよう組み立てられています。
文を作る時には、まず、最初のステップとして、肯定文を作るのか、否定文を作るのか、疑問を作るのか、といった「文の種類」を決めるところから始めます。
(下図の緑で囲った部分)
<図1.基本英語の全体像>
文の種類としては、全部で8種類あります。
これまで、平叙文における「肯定文」ばかりを見てきましたが、今日は、平叙文における「否定文」の作り方を見てみます。
<図2.文の種類(8種類)>
否定文の作り方フローチャート
否定文とは、「~ではない」「~しない」といった、主語の状態や動作を否定する文のことです。
否定文は述語パートのあり方でその作り方が決まります。
まず、述語パートに助動詞を使うかどうかを考え、助動詞を使う文であれば、助動詞を否定の形にして否定文を作ります。(下図「パターン1」)
助動詞が使われない場合には、次に完了形の文であるかどうかを考え、完了形の文であれば、特別動詞の「have」を否定の形にして、否定形を作ります。(下図「パターン2」)
いずれでもない場合には、述語が「be動詞」か「一般動詞」かを考え、それぞれの否定の作り方に沿って、否定文を作ります。(下図「パターン3」「パターン4」「パターン5」)
<図3.否定文の作り方フローチャート>
否定文の作り方:パターン1(助動詞を使う場合)
助動詞とは、can(~できる)、will(~するつもりだ)といったことばで、動詞を補足して意味を足す役割を持つことばです。
助動詞を使う場合の否定文の作り方は非常に簡単で、助動詞の後に「not」を付け足せば済みます。
(例)
否定文の作り方:パターン2(完了形の場合)
完了形は以前、時制のところでやりましたが、覚えていますでしょうか。
「完了形」とは、「既に~の状態だ」「既に~してしまった」という意味で、主語の状態や主語が行う動作が、話している時点で「既に起きてしまっていること」を表す時制の一部でした。
完了形には、
・過去完了
・現在完了
・未来完了
があり、それぞれ、使われる動詞が単純形か、進行形かでパターンがわかれますので、全部で6種類の完了形がありました。
<図4.時制>
完了形の否定文も簡単で、助動詞と同様、特別動詞である「had」や「have」の後に「not」を付け足せば済みます。
過去完了の否定文
過去完了の否定文は、「had」の後に「not」を付ければ完成します。
(例)
過去完了で進行形の否定文
過去完了の進行形の文でも、「had not been + 現在分詞」となり、「had」の後に「not」を置けばよいことに変わりありません。
例)
現在完了の否定文
現在完了の否定文は、「have」の後に「not」を付ければ完成します。
主語が3人称単数の場合には、「has」の後に「not」を付けます。
例)
現在完了の進行形の否定文
現在完了の進行形の文でも、「have not been + 現在分詞」、主語が3人称単数の場合は、「has not been + 現在分詞」となり、「have」や「has」の後に「not」を置けばよいことに変わりありません。
例)
未来完了の否定文
未来完了の肯定文は、「will have+過去分詞」の形です。「will」は助動詞ですので、フローチャートで見たように、完了形より助動詞が優先されて、「will not have+過去分詞」という形になります。
例)
未来完了の進行形の否定文
未来完了の進行形であっても、助動詞の「will」が使われているので、これが優先されて、「will not have been + 現在分詞」となり、「will」の後に「not」を置けばよいことには変わりありません。
例)
否定文の作り方:パターン3(be動詞を使う場合)
be動詞は、主語の状態がどんなだ、ということを表現する際に使われる動詞です。
主語の人称によってことばが変わります。
<図5.be動詞>
述語パートに助動詞も使われない、完了形でもない場合で、動詞にbe動詞が使われる場合には、「be動詞」の後に、「not」を付ければ終わりです。
例)
否定文の作り方:パターン4(一般動詞を使う場合:現在)
述語パートに助動詞を使わず、完了形でもなく、be動詞でもなく、一般動詞を使う場合は、他と違って若干ですが厄介です。
まず、時制が現在の場合と、過去の場合で少し異なります。
一般動詞の現在形の場合、「do」、主語が3人称単数の場合は「does」という助動詞が突如として登場し、その後ろに「not」を置いて、「do not + 動詞の原形」「does not + 動詞の原形」という形を作って否定を表します。
「do」「does」は助動詞ですので、「not」の後の一般動詞は「原形」を使います。
例1)
例2)主語が3人称単数の場合
否定文の作り方:パターン5(一般動詞を使う場合:過去)
一般動詞を使う文で、時制が過去の場合の否定文は、「did」という「do」の過去形を使い、「did not + 一般動詞の原形」という形となります。
例)
ちなみに、一般動詞を使う場合で、時制が未来の場合はどうなるのでしょうか?
時制が未来の場合は、未来を表す助動詞「will」や「shall」を使いますので、パターン1が適用されます。
おさらい
以上で否定文の作り方が終わりました。
・助動詞を使う場合:「助動詞」に「not」を付ける
・完了形の場合:「had」「 have」に「not」を付ける
・be動詞の場合:「be動詞」に「not」を付ける
・一般動詞(現在)の場合:「do」「does」に「not」を付ける
・一般動詞(過去)の場合:「did」に「not」を付ける
一般動詞の場合だけ、少し他と違いますね。
色々と出てきましたので、以前「悪魔のドリル」で紹介した、時制全文を使っておさらいしましょう。
<図6.時制全文の否定形>
下の否定文・疑問文を作る時に考えるフローチャートと見比べてみましょう。
パターン1~5の通りになっていますね。
<図7.フローチャート(再掲)>
以上、否定文の作り方でした。
このように否定文の作り方は、述語パートのパターンで整理して、法則を比べながら一気に勉強してしまったほうが理解が進みますし、断然速く習得できると思います。
次回は疑問文の作り方を見てみます。
疑問文も基本的な考え方は、否定文の作り方に似ていますので、すぐに理解できると思います。
それでは、最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました!