【概要】
言葉とは何か言いたい事を伝えるためにあります。
言いたい事を伝えるとき、文を作って伝えます。
文を作るためにはルール(文法)が必要です。
ルール(文法)は文を作るためにあるのです。
ですから、文法を学ぶには、「どうしたら文を作れるのか?」という視点で勉強することが、そもそもの目的に合致しているし、近道です。そして、複雑なことを学んでいくには、まずは「単純化」して全体感を先に把握してから細かい部分を次第に学ぶというステップが大切です。
「凡人でもペラペラになる唯一の英語勉強法」では、文法を学ぶ時には、文を作る時のステップを一旦単純化して捉えてから、次第に詳細を学んでいく方法を採ります。それが最も効率的で頭に残りやすいからです。
これを形にしたものが「基本英文法のフレームワーク(英文法を勉強するための枠組み)」です。今日は、このフレームワークの概要をご紹介します。
実際の中身(=英文法)の説明は次回から行います。
これが「基本英文法のフレームワーク(ver2)」だ!
以前、このブログで「基本英文法のフレームワーク(ver.1)」を紹介したことがありますが、今回改良を加え、バージョン2として更にパワーアップしています。
早速見ていきましょう。
<基本英文法のフレームワーク>
英文法の学習とは、
- 文の種類毎に、
- 文の各要素(主語、述語、補語、目的語、修飾語)の組み立て方と
- 各要素を支える品詞の使い方
を覚えること
といっても過言ではありません。
それを英文法のフレームワークから感じ取ってもらえれば、と思います。
それでは、①~⑤までの各ステップを説明します。
ステップ①:文の種類を決める
文を作るときには、最初にする作業は、文の種類を決めることです。
断定したいのか、何か尋ねたいのか、否定したいのか、驚きを表したいのか、などです。
こういった文自体の種類は、英語では全部で8通りに整理できます。
平叙文、疑問文、命令文、感嘆文の4種類に、それぞれ肯定と否定があり、全部で8通り、というわけです。
ところで平叙文(へいじょぶん)ってちょっと聞きなれない言葉ですね。
平叙文とは、物事について断定的に言う時に使う文のことです。「~だ」とか「~でない」とかいう具合です。
8通りのうち、どの種類の文を作るかにより、後ろに続く文の形が変わりますので、どの種類の文を作りたいのか、最初に決める必要があります。
ステップ②:主語を決める
文の種類を決めた後、最初に決めることは文の主語です。
主語とは、「~は」とか「~が」といった文の主題となる最も重要なことばです。
主語は、いかなる言語でも最も重要な要素です。英語でも例外ではありません。
主語がなければ、何の話をしているのかが分かりません。
基本英文法のフレームワークを見てみますと、「主語を含むパート」の下に、「名詞」と書いています。
どういうことかというと、主語になれる品詞は名詞だ、ということです。
英文の大原則として、名詞だけが主語になれる、というルールがあります。
少し厳密に言えば、主語になれるのは「名詞の仲間」だけです。
どんなことばが「名詞の仲間」になるのか、は後で習いますので今は気にしなくて良いです。
主語に関する重要なルール
主語に関する重要なルールは、「主語になれるのは名詞だけ」ということです。
逆に言いますと、動詞や形容詞や副詞など、名詞でない品詞は主語になることはできない、ということです。
このルールは、文章を読み解く際に非常に効いてきますので、是非、覚えておいて欲しいルールです。
主語を含むパートに関するルール:まとめ
・文の種類を決めた後、最初に決めるのは主語をどうするか
・英語で主語になれるのは名詞だけ、名詞を置けば主語になる
ステップ③:述語を決める
主語を決めたら次に決める要素は述語です。
「主語が~する」や「主語は~だ」といったように、主語を受けてその動作や状態を述べるのが述語です。
英語では、主語の後に直ぐ述語をおいて、結論を先に述べてしまいます。
述語(結論)を文の一番末尾に置く日本語とは異なりますね。
述語は主語と同じくらい重要な文の要素です。
文には、主語と述語が必ず存在します。
主語と述語がない文は、もはや文ではありません。
ですから主語と述語がとても大切で、これも英文を読み解く際に、とても重要なルールとなります。
述語に関する重要なルール1
基本英文法のフレームワークには、「述語を含むパート」の下に「動詞」と書いています。述語になれる品詞は動詞だ、という意味です。
もう少し言いますと、英文で述語になれる品詞は動詞だけなのです。
名詞、形容詞、副詞といった品詞は述語にはなれません。
述語に関する重要なルール2
動詞を考える場合、更に2つのことを同時に考えなければなりません。
・態(たい)
・時制(じせい)
の2つです。
態(たい)とは
態(たい)とは、「主語が動作を能動的に行ったのか」「受け身的に(受動的に)誰かにやられてしまったのか」の違いを表現する方法です。
・能動態:私は走る(私は「能動的に」走る)
・受動態:私は殴られた(私は「誰かに」殴られた)
時制とは
時制とは、時の概念のことです。
今(現在)のことを言っているのか、昔(過去)について言っているのか、といった具合です。
この時制ですが、日本語とは異なるものが多く登場しますので、英語をややこしくしている原因の一つです。
詳しくは別途説明します。
述語を含むパートに関するルール:まとめ
・主語の次に述語をどうするか考える
・述語になれるのは動詞だけ、動詞を置けば述語ができる
・動詞を考える場合、「態(たい)」と「時制(じせい)」を同時に考えなければならない
ステップ④:目的語か補語を置く
述語の動詞が決まると、その次にくる文の要素がほぼ自動的に決まります。
パターンとしては、
1.動詞までで文が完結して、後は何も要らないパターン
2.動詞の後ろに「目的語」が必要となるパターン
3.動詞の後ろに「補語」が必要となるパターン
4.動詞の後ろに「目的語」が2つ必要となるパターン
5.動詞の後ろに「目的語」と「補語」が必要となるパターン
と5つあります。
これを「英語の5文型」といったりします。
英文を作る時の基本的な骨格となる型が5つありますよ、ということです。
上から第1文型、第2文型、第3文型、第4文型、第5文型と呼ばれますが、まあ、呼び方はどうでもよいです。
この型が重要です。
これら英文の基本形なのですから、この型に沿って文法も勉強した方が効率的で良いのです。
ところで、フレームワークにある「文作成の流れ:→」ですが、ステップ④とステップ⑤は、必ずしも必須とはならない時もある、ということで、述語から延びる青の矢印「→」を点線で示しています。
目的語とは
目的語とは、動詞での動作が及ぶ対象物を表すことばです。
「私は壁を叩いた」の「壁を」の部分です。
「私はりんごを食べた」の「りんごを」の部分です。
どちらも動作が及ぶ対象を表しています。
目的語に関する重要なルール
目的語になれるのは名詞だけです。
動詞、形容詞、副詞といった名詞以外の品詞は目的語にはなれません。
主語の時の名詞と同様、厳密に言えば、「目的語になれるのは名詞の仲間だけ」なのですが、今は、「目的語になれるのは名詞だけ」と覚えておいて問題ありません。
上の例では、壁(wall)やりんご(apple)はものの名前、つまり名詞です。
補語とは
補語とは、主語(名詞)や目的語(名詞)が、どんな状態なのかを表すために使われることばです。
例えば、「太郎は少年です」といった時の「少年」の部分です。太郎が「少年である」という状態を表しているので英語では補語とみなされます。
もう一つ。
「太郎は背が高いです」という文における「背が高い」という部分です。太郎という主語が「背が高い状態」であることを表しているので、英語では補語とみなされます。
補語に関する重要なルール
英語で補語になれるのは、名詞と形容詞だけです。
上の例でいれば、「少年(boy)」は名詞であり、「背が高い(tall)」は形容詞となります。
動詞、副詞といった他の品詞は補語にはなれません。
目的語と補語に関する重要なルール
主語と補語には「=(イコール)」の関係があります。
「私=男」であり「私=背が高い」わけです。
しかし、
「主語=目的語」の関係は成り立ちません。
「私=壁」ではありません。「私=りんご」ではありません。
これが目的語と補語を見分ける方法で、両者の大きな違いです。
目的語・補語を含むパートに関するルール
・英語の基本的な型として、
- 後ろにもう何も必要ないパターン(第1文型)
- 目的語が必要となるパターン(第2文型)
- 補語が必要となるパターン(第3文型)
- 目的語が2つ必要となるパターン(第4文型)
- 目的語と補語が両方必要となるパターン(第5文型)
がある。この型は、動詞によってほぼ自動的に決まる。
・目的語になれるのは名詞だけ
・補語になれるのは名詞か形容詞だけ
・「主語=補語」の関係は成立するが、「主語=目的語」の関係は成立しない。
ステップ⑤:修飾語を入れる
最後に修飾語を入れるかを考えます。
「修飾」とは、主語、述語、目的語、補語に対して、何か詳しい説明を加えて、文をよりわかりやすくする、という意味です。
修飾語には、実に様々な言い回しパターンがあり、英文法をややこしくしているのですが、ここでは基本的な言い回しに焦点を絞って、
・副詞
・「前置詞+名詞」
をまずおさえておきます。
文の最後には、副詞や前置詞+名詞がくるパターンが多いからです。
副詞とは?
副詞とは、名詞以外の品詞を修飾することばです。主に動詞と形容詞を修飾します。
「僕は壁を強く叩いた」の「強く」の部分です。「叩いた」という動詞を修飾しています。
もう一つ。
「太郎はとても背が高い」の「とても」の部分です。「背が高い」という形容詞を修飾しています。
ちなみに名詞を修飾するのは形容詞ですが、これは別途説明します。
「前置詞+名詞」とは?
前置詞+名詞の組み合わせは、形容詞的に名詞を修飾したり、副詞的に動詞を修飾したりすることができるとても便利な言い回しです。
とても使い勝手が良いので英文では頻出します。
詳しくは別途説明しますが、「前置詞+名詞」の言い回しは、副詞的に動詞を修飾することができる、と覚えておけば良いです。
修飾語に関する重要なルール
修飾語は、文に一つだけ、とは限らず、言いたかったらいくつ置いても良い、というルールがあります。
副詞一単語だけ、とか、前置詞+名詞を1回だけ、なんていうルールはありません。言いたいことを修飾語の形でどんどん重ねていくことができます。
ですから、実はこの修飾語を読み解く力が、文を理解するのにとても大切になります。
このあたりはおいおい説明します。
修飾語を含むパートに関するルール
・副詞は名詞以外を修飾する。主に動詞と形容詞を修飾する。
・前置詞+名詞の組み合わせは、副詞的に動詞を修飾することができる。
・修飾語はいくつも重ねることができる。
ざっと基本英文法のフレームワークを説明しました。
今後、これに肉付けをしながら文法を解説していきます。
せっかくなので、ちょっと試しに文を作ってみましょう!
ステップ①:文の種類を決める
まずは基本ということで、以下のような平叙文で肯定する文を作るとします。
「太郎はお昼ご飯を家で急いで食べた」
ステップ②:主語を決める
主語は「太郎」ですから、英語で書くと「Taro」となります。
主語「Taro」が決まりました。
ステップ③:動詞を決める
食べるという動詞は「eat」です。
同時に、態と時制を考えます。
態は、受け身的に「食べられた」のではなく、能動的に「食べた」となります。
時制は、過去です。「eat(食べる)」の過去は「ate(食べた)」となります。
(この辺は別途きちんと説明します)
ここまでで、
Taro ate(主語+述語)
となり、主語と述語が決まりました。
ステップ④:目的語か補語を置く
次に目的語か補語が必要かどうか、ですが、これは動詞(eat)によってほぼ自動的に決まります。
「eat」という動詞は、基本的に目的語を必要とします。何を食べたのか?を言う必要があるのです。しかし、2つ目の目的語や補語は必要でない動詞です。そういう動詞なのです。
ここでは、「お昼ごはん(lunch)」が目的語になります。
ここまでで、
Taro ate lunch (主語+述語+目的語)
までができました。
⑤修飾語を入れる
最後に修飾語を入れるかどうか考えます。
ここでは、
「急いで」と「家で」という、「食べた」という動詞を修飾することば入れたいのですね。
「急いで」は英語で「quickly」という副詞を使います。
「家で」は英語では「at home」という副詞的な意味を持つ「前置詞+名詞」を使います。
これらを加えて、
Taro ate lunch quickly at home. (主語+述語+目的語+修飾語+修飾語)
となり、文が完成しました。
主語+述語+目的語の第3文型ですね。
完成した文を品詞で見てみます。
- 主語=名詞(Taro)
- 述語=動詞(ate)
- 目的語=名詞(lunch)
- 修飾語=副詞(quickly, at home)
ですね。ルールから外れていません。
英文を非常に単純化して見てみると、基本英文法のフレームワークに必ず沿っています。
ですので、このフレームワークをまずはしっかりと理解して欲しいと思います。
まとめ
今日は詳しい文法の説明に入る前に、実際、文を作る視点から、英文と文法を単純化した「基本英文法のフレームワーク」について説明しました。
・文の種類は8通り。
・まず主語を決める。主語になれるのは名詞だけ。
・次に述語を決める。述語になれるのは動詞だけ。
・目的語か補語が必要か、動詞によって決まる。
・目的語が必要なら置く。目的語になれるのは名詞だけ。
・補語が必要なら補語を置く。補語になれるのは名詞と形容詞だけ。
・修飾語を置きたかったら置く。
・修飾語の代表は、動詞を修飾する副詞と、副詞的に使われる前置詞+名詞がある。
・修飾語はいくつ使っても構わない。
今後は、「基本英文法のフレームワーク」に沿って文法を解説していきます。