【概要】
国際ビジネスコンサルタントのこじたむです。
今回は、英文法を本格的に勉強する前に、最低限これだけは知っておきたい、といういくつかの文法用語について、「品詞」を中心に、今後に効いてくる重要ポイントを踏まえて簡潔に分かりやすく説明します。
英文法を説明するには、どうしても前提としてこういった基本的な文法用語が必要です。
<図1.前提となる文法用語の位置づけ>
- 文法は文法用語に乗せて説明し理解されます。
- 最低限の共通理解として必要となります。
その中に、「品詞」というものがあり、「品詞が文のなかでどのように働くのか」を紐つけて説明します。
そして、「文」という概念が出るため、同時に「文・節・句」について説明し、最後にこれら要素が文の中でどのような関係にあるのか、を「英文のイメージ」を使って説明します。
図解を駆使して、かなり分かりやすく説明します。
今後、英文を読む力、作文に効く重要ポイントもまとめて説明します。
ちょっと今までにない説明の仕方ですが、かなり理解が進むと思います!
<図2.英語の勉強フレームワークにおける今日の説明箇所>
今日は、「2.文法を理解する」における前提となる「前提となる文法用語」を必要最小限に絞ってご説明します。
前提となる基本的な文法用語を簡潔に説明
英文法を理解するために必要となる、前提となる文法用語の種類は3つです。
- 品詞
- 品詞の文のなかでの働き
- 文、節、句
それぞれ説明します。
1.品詞
英文法における品詞は、全部で10あります。
(1)名詞
(2)冠詞
(3)前置詞
(4)代名詞
(5)形容詞
(6)動詞
(7)助動詞
(8)副詞
(9)接続詞
(10)間投詞
まずはさくっと簡単な定義から
まずは、さくっと全ての品詞の簡単な定義を見てみましょう。
<図3.品詞の定義と例>
一段深い理解へ:品詞をグルーピング
品詞には、必ず一つのセットで現れる「仲良し同士」の関係や、修飾・被修飾の関係、また代替が可能なもの同士といった関係性が存在します。
まずは、この関係性でグループを作ります。
<図4.品詞のグルーピング>
※” “内は、私の造語です。正式な名称ではありません。
<”名詞ファミリー”>
10のうち、5つもの品詞が名詞とのセットとなります。
まさに名詞を親分とした「名詞ファミリー」を形成していますね。
「冠詞」と「前置詞」は必ず「名詞」の前にだけ登場しますし、「形容詞」は「名詞」だけを修飾できます。
「代名詞」は名詞と代替関係にありますので、身代わりとなる「影武者」のような存在です。
<”動詞兄弟”>
「動詞」と「助動詞」は、動詞を兄、助動詞を弟とした仲良し兄弟のような関係です。
兄である動詞は、いつも必ず文の中にでてきますが、弟の助動詞は兄である動詞を助けたい時だけ登場します。
助動詞は動詞だけを助けて、他の品詞を助けることはありません。
<”八方美人”>
「副詞」と「接続詞」は八方美人です。
どんな品詞とも仲良くしようとします。
「副詞」は、名詞以外の全てといっていいくらい、色々なものを修飾しますし、「接続詞」は、色々な語句や文を接続します。
<”一匹狼”>
「間投詞」は、文の中で常に独立した要素となります。
独立独歩のまさに「一匹狼」といった感じです。
更に深く理解:品詞の相関図
上記のようなグルーピングを踏まえて、もう少し突っ込んで、それぞれの品詞の相関関係を整理します。
<図5.品詞の相関図>
品詞の話をする際は、常にこの相関図を見て、全体像を確認しながら進んで行くようにしましょう。理解が速く進むと思います。
この相関図を見ながら、各品詞について、もう少し詳しく見ていきます。
まずは”名詞ファミリー”から
(1)名詞
①人の名前(例:太郎、花子 など)
②ものの名前(例:お金、猫 など)
③事柄の呼び名(例:知識、経済 など)
いずれかを表す単語。
(2)冠詞
名詞の前につけて、その名詞に対して「不特定の一つ」または「特定の」といった意味付けをする単語。
①a
②an
③the
の3つのみ。
- 日本語にはこの概念はありません。しっかり理解しましょう。
- 「a」「an」は、その名詞が「文脈上、特定されない、どれか一つ」であることを示唆します。
- 「the」は、その単語が「文脈上、特定されたもの」であることを示唆します。「a」「an」とは異なり、一つか複数かまでは示唆しません。特定されたのだから数の概念はもういらないよね、ということです。
- 名詞の種類によって「つけるか」「つけないか」が変わります。
「冠詞」ココがポイント
- 「冠詞」とは「かんむりことば」という意味ですが、何のかんむりになるか、というと名詞のかんむりになる、ということです。従って、動詞や形容詞など他の品詞には冠詞は付きません。
- 付くなら、必ず名詞だけ、逆に言えば、冠詞があれば、その後のどこかには、セットになる名詞が必ずあるはずだ、ということです。
この理解が、後々、文章読解にきいてきますので、覚えておきましょう!
(3)前置詞
名詞の前(冠詞がある場合は更にその前)に置き、場所や時の概念を表す単語。
「前に置くことば」という意味ですが、何の前に置くのかというと「名詞」の前に置く、ということです。
「前置詞」ココがポイント
冠詞同様、前置詞は名詞のみにつき、動詞や形容詞など他の品詞に付くことはありません。
ということは、冠詞同様、前置詞があれば、その後ろには必ず名詞があると言えます。
これも文章読解において、とても重要なルールですので、必ず覚えてしまいましょう!
(4)代名詞
言葉の通り、名詞の代わりとして使われる単語。
(例:わたし、あたな、かれ、それ など)
全部で28単語しかありません。
重要なことは、文において「代名詞」は「名詞」と同じ働きをする、ということです。
名詞と代名詞は代替関係にありますが、冠詞が代名詞に付くことはありません。(前置詞は代名詞の前に付くことができます)
理由は、「わたし」や「あたな」といった瞬間に、誰(何)のことを話しているのか特定されますし、数の概念(一つかどうか)もいわずもがな、わかるためです。
(5)形容詞
人やものや事柄の様子、性質、状態を表す単語。
人、もの、事柄・・・、どこかで見ましたよね?そう、名詞です。
言い換えれば、
名詞の様子、性質、状態をあらわす単語
と言えます。
つまり、名詞を修飾する、という事です。
(例:きれい、白い)
日本語文法における「形容詞」も「形容動詞」も、英文法では「形容詞」として扱います。
次に”動詞兄弟”です。
(6)動詞
①動作を表す単語(例:~する)
②状態を表す単語(例:~だ)
どちらかの意味を表す単語。
(7)助動詞
読んで字のごとく、動詞を助けることばで、動詞の前に置いて、動詞に一定の意味を加える単語。
付けるなら、必ず動詞の前に必ず付きます。動詞の後ろには付きませんし、名詞など他の品詞には付きません。
続いて”八方美人”です。
(8)副詞
名詞以外(動詞、形容詞など)を修飾する単語。
(例:とても、すぐに)
(9)接続詞
文字通り、つなげる単語。
①単語と単語
②語句と語句
③文と文
をつなげます。
最後に”一匹狼”です。
(10)間投詞
驚きや喜びなどの感情を表現する単語。
(例:まぁ、おやおや など)
文中では独立した要素となります。
2.品詞の文のなかでの働き
次ぎに、品詞が文のなかで、どんな働きをするか、を見ます。
「働き」とは、要は、主語とか述語、というものです。
品詞が文として並べられた時、それぞれの品詞が文の中で意味するところを定義した文法用語です。
文での働きとして、全部で5つ定義されています。
(1)主語
(2)述語
(3)目的語
(4)補語
(5)修飾語
以下、各働きについて説明します。
(1)主語
文の
・何(誰)が(は)どうする
・何(誰)が(は)どんなだ
・何(誰)が(は)なんだ
における、何(誰)が(は)にあたる部分。
文の主題、述語の主体を表す単語。
「主語」ココがポイント
品詞で言えば、名詞・代名詞(または名詞的要素である名詞句や名詞節)だけが、主語になれます。
命令文以外、文には必ず主語が必要です。
(2)述語
文において、
①主語の動作(例:~する)
②主語の状態(例:~だ)
どちらかを表す単語。
「述語」ココがポイント
品詞で言えば、動詞だけが述語になれます。
命令文含めて、全ての文には、必ず述語(つまり動詞)が必要となります。
(3)目的語
動詞が表す動作の対象を表す単語。
「目的語」ココがポイント
目的語になれるのは、名詞(名詞的に働く名詞句、名詞節も含む)・代名詞だけです。
(4)補語
主語や目的語が「どういうものなのか」または「どういう状態にあるのか」を説明する単語。
「補語」ココがポイント
補語になれれるのは、名詞(名詞的に働く名詞句、名詞節も含む)・代名詞、形容詞だけです。
(5)修飾語
(1)~(4)以外全て。
主語、述語、目的語、補語を説明し、意味をつけ加える単語。
文的には、主語、述語、目的語、補語が重要なので、こられに分類できないものを全て「修飾語」として括ってしまった、と理解しておいて良いと思います。
「品詞」と「働き」の関係を整理「なれる・なれない早見表」
各品詞は、文のなかで特定の働きしかできません。文のなかでの役割が既に決まっています。
「主語になれるのか、なれないのか?」「述語になれるのか、なれないのか?」といった役割を理解することが重要ですので、一旦ここで整理します。
<図6.品詞の文の中での働き 整理図「なれる・なれない早見表」>
- 各品詞は、文のなかで担える働きがあらかじめ決まっています。
- この役割(なれる・なれない)を覚えることが重要です。
例えば、「主語になれるのは、名詞と代名詞だけ」といった具合に読みます。
特に、上から4つ、主語、述語、目的語、補語には、どういった品詞しかなることができないのか、を知ることが重要です。
単純化して見ると、非常に簡単です。
- 主語になれるのは、名詞だけ。
- 述語になれるのは、動詞だけ。
- 目的語になれるのは、名詞だけ。
- 補語になれるのは、名詞と形容詞だけ。
名詞って大活躍ですよね。
この理解が、後々の文章読解などに効いてきます。
ココがポイント
「文」には、基本的に、主語と述語が必要です。
「基本的に」という意味は、命令文の時のみ、形式的には「主語」を置かない、というルールがあるからです。意味あいとしては、「あなたが~しなさい」というわかりきった主語が言外にあるため、わざわざ言わなくても良いだけで、意味上の主語は存在することになります。(命令文のところで詳細をやります)
一旦、主語と述語がないものは、「文」ではない、と考えて良いくらい重要な概念です。
また、主語になれるのは名詞・代名詞(または名詞句・名詞節といった名詞的要素)だけ、述語になれるのは動詞だけです。従って「名詞と動詞は必須」と言い換えることもできるわけです。
3.文、節、句
情報伝達の単位となる、「文」、「節」、「句」について説明します。
(1)文
「文」とは、いつくかの単語が文法のルールに従って並び、あるまとまった内容を伝えるための情報伝達の単位のこと。
あまりくどくど説明はいらないでしょう。
どちらかと言えば、上記の定義というより、以下、文として成立するための形式上のルールが大切となります。
形式的には、英語の場合、以下が重要です。
1.主語と述語を必ず含む。
2.文章の初めは大文字で始まる。
3.文章の終わりは、必ず、以下のいずれかで終わる。
- ピリオド ( . )
- クエスチョンマーク (?)
- 感嘆符/びっくりマーク (!)
上記のうち、主語と述語を必ず含む、という点が最も重要です。
(2)節
「節」とは、いつくかの単語が集まって、文の中で名詞・形容詞・副詞のような働きをし、かつ、そのなかに主語と述語を含む情報伝達の単位のことです。
言い換えれば、主語と述語があるにも関わらず「文」とはならず「節」となる、ということですが、どういうことでしょうか?
その文全体をよく見ると、真の主語や真の述語が他に存在する、ということです。それで格が下がって「節」として扱われる、と言い換えても良いでしょう。
要するに、文の中の文、本当の文を「親の文」とすると、そのなかにある「子供の文」と比喩的にいうこともできます。
「文の中で名詞・形容詞・副詞のような働きをし」ますから、分類としては以下3つある、ということになっています。
- 名詞として扱う「名詞節」
- 形容詞として扱う「形容詞節」
- 副詞として扱う「副詞節」
(3)句
「句」とは、いくつかの単語が集まって、文の中で名詞、形容詞、副詞と同じ働きをし、そのなかに主語と述語を含まない情報伝達の単位のこと。
単語を二つ以上集めて作るので、純粋に名詞、形容詞、副詞とは呼べない、と理解しても良いでしょう。
節と同じように、「文の中で名詞・形容詞・副詞のような働きをし」ますから、分類としては、以下3つある、ということになっています。
- 名詞として扱う「名詞句」
- 形容詞として扱う「形容詞句」
- 副詞として扱う「副詞句」
「品詞」と「働き」再整理、「なれる・なれない早見表(改)」
ここで、「節」「句」という概念が出て、名詞、形容詞、副詞として扱うことを説明しましたので、文の働きと品詞の関係図をアップデートして掲載します。
<図7.品詞の文の中での働き 整理図「なれる・なれない早見表」(改)>
- 「名詞句・名詞節」、「形容詞句・形容詞節」、「副詞句・副詞節」が新たに加わりました。
- 働き自体には変化はなく、相変わらず主語になれるのは「名詞(名詞句・名詞節)」と「代名詞」のみ、述語になれるのは「動詞」だけです。
常に上の表は手元に置いておいて、参照するようにすると理解が進むと思います。
文の成立イメージ
今回は、
1.品詞
2.品詞の文のなかでの働き
3.文、節、句
を見てきました。
これらの定義を確実に理解するため下図を見て下さい。
文の成り立ちのイメージを書いています。
<図8.文の成り立ちイメージ>
- 「文」は、「節」や「句」や、最小単位である「単語」から成り立っています。この親子関係が大切です。
- それぞれの単語は10品詞のいずれかですが、「節」や「句」を形成すると、意味あいとして名詞・形容詞・副詞と同じ役割を担います。
<図の説明>
- 単語1~8を、文法のルールに従って並べたとします。(黄色の部分)
- 赤で囲った部分が「文」です。
- 文には、必ず「主語」と「述語」があります。(図では、「真の主語」「真の述語」、命令文だけ、形式的には主語はいりません)
- 基本的に、代名詞、名詞句・名詞節を名詞扱いにすると、主語は名詞だけ、述語は動詞だけしかなれませんので、上の例では、主語、述語はそれぞれ、名詞と動詞となっています。
この例では「節」と「句」がある想定です。
- 「節」は、この文における真の主語、真の述語になれない、節のなかでの主語、述語が含まれます。(緑の部分「節の主語」「節の述語」)
- 「節」は、接続詞、名詞、動詞からなっている想定ですが、まとまることで全体として、まるで名詞か形容詞か副詞のような役割を担います。(緑の説明部分)
- 「句」は、この文においては、前置詞、冠詞、名詞から成っている想定ですが、まとまることで全体として、まるで名詞か形容詞か副詞のような役割を担います。(青の説明部分)
- 文>節>句>単語、という関係が成り立ちます。例では、節と句を別々の枠で書いていますが、節の中に句が入っても良いです。ただし、その逆はあり得ません。
おさらい
いかがでしたでしょうか。
- 品詞
- 品詞の文のなかでの働き
- 文、節、句
以上、3つの概念をご理解いただけたでしょうか。
最後に、再度、重要ポイントをおさらいしておきます。
品詞「重要ポイント」おさらい
1.品詞
- 全部で品詞は10個
- 品詞同士の相関関係を覚えること
2.品詞の文のなかでの働き
- 全部で働きは5個
- 品詞と働きの関係「なれる・なれない」を覚えること
3.文、節、句
- 文、節、句の定義と親子関係が大切
- 節と句は、単語がまとまることで、名詞・形容詞・副詞、いずれかと同じ役割を担う
これらのポイントは、後々、英文読解や作文などにかなり効いてきますので、是非覚えるようにしましょう!