【概要】
前回説明したように、英語で述語を含むパートの要(かなめ)は動詞です。
英語では、動詞だけが「述語」になれるからです。
ところがこの動詞、とても厄介者なんですね。
様々な要素に影響されて形を変えるからなんです。
主語によって形を変えたり、時制といって時の概念によっても形を変えたり。
動詞が影響を受ける要素に「態(たい)」というものもあります。
態とは要は、
主語が「能動的に」何かを行うのか?
あるいは
主語が「受動的に」「第三者に」何かをされてしまうのか?
どちらで表現しますか?というものが「態」です。
基本英文法のフレームワークにも整理しましたが、述語を含むパートでまずおさえるべきは、動詞の他に、態(たい)と時制です。動詞を考えるにあたって、同時に考慮しなければならない要素です。
<基本英文法のフレームワーク>
今日は「態」と、それによってどのように動詞が形を変えるのか、を見ていきましょう。
態の2種類
上で話したように、「態」には2種類あります。
- ①主語が、能動的に何かをやるのか?
- ②主語が、受動的に何かをやられるのか?
の2種類です。
- ①を能動態
- ②を受動態
といいます。
通常、英語の動詞は、主語が能動的に何を実施することを前提にしています。
例:I read books.
と言えば、主語である「私」が「能動的に」本を読む、という意味で、誰かに読まれているわけではありません。
このように英語の動詞は、主語が主体的に何かをすることを前提としているので、能動態を作るのはそれ程難しくはありません。主語の後に動詞を置けば、普通に能動態ができてしまうからです。
となると、問題は「受動態」をどう作るか?です。
受動態(受け身)の作り方:be動詞+動詞の過去分詞(+by 名詞)
受動態のことをよく「受け身の文」といったりします。
誰かに何かをやられてしまう・されてしまうから、意味が受け身的なんですね。
英語で受け身の文を作る時の型は決まっていて、
主語(名詞1)+be動詞+一般動詞の過去分詞+by 名詞2
となっています。
byは前置詞で、ここでは「~によって」という意味です。
前置詞は後ろに必ず名詞を置くというルールですから、byの後には必ず名詞(または名詞の仲間)がきます。
例えば、上の例1
I read books. (私は本を読みます)
という文の「books」を主語にして、受け身の文を作ってみましょう。
booksは、「book(本)」に「s」がついて、複数(2冊以上)を表しています。
人称は、私(1人称)、あなた(2人称)以外ですから、3人称です。そして数は複数です。
3人称の複数である名詞が主語の場合は、be動詞は「are」がきます。
そして、「read(読む)」の過去分詞は、「read」(レッド、と読みます)ですから、
Books are read by me. (本は私によって読まれる)
となります。
「by (名詞)」は「(名詞)によって」という意味で、意味上の主語となります。つまり、ここでは本を読む主体は誰かというと「me(私)」である、と言っているわけです。
「me」というのは、「自分、私」という意味の代名詞「I」が、byという前置詞の後ろにくることによって形を変えているのです。
代名詞は、普通の名詞とは異なり、文の中で形を変えるのですが、それはまた別の機会に説明します。
さて、ここで「過去分詞」という新しい言葉がでてきました。
過去分詞とは、動詞の活用の一つで、
- ①~しちゃった、と、何かを完了したことを言う時に使う
- ②~された、と、受け身の文を作る時に使う
と、大きく2つの意味を持っています。
今回は受け身の文を作るわけですから、②のために動詞の過去分詞の形を使うわけです。
動詞の活用については、次回以降で見ていきますので、今回は、「受け身の文」を作る時には、
主語(名詞1)+be動詞+一般動詞の過去分詞+by 名詞2
という形でつくるんだ、ということだけ覚えておけば良いです。
受け身の文にして意味が通じるもの、通じないもの
受け身の文にして意味が通じる場合とそうでない場合があります。
例えば、
I run. (私は走る)
という文はどうでしょうか。
runの過去分詞は「run」と形を変えませんので、
I am run.
となります。
「私は走られる」となり、意味がわからない文となってしまいます。
「私は走らされる」ではありません。「私は走られる」です。意味が分かりませんね。
走らされる、という文は、「誰かを走らせる」という文の受け身で、そういう言い方が別にありますから、
I run. の受け身である、I am run. は「私は走られる」です。
上の例で見たように、受け身にして意味が通じるのは、
I read books.
のように、動詞の後ろに目的語をとる場合、その目的語を主語にして受け身の文を作る時です。
I run. (私は走る)
には目的語がありません。走る、という意味の「run」という動詞には目的語が要りません。
このように目的語が要らない動詞は、受け身の文が作れません。厳密にいえば、形式上はbe動詞にrunの過去分詞を付ければできるので作れなくはないのですが、意味が通じない文ができてしまいます。
では、
I run a company. (私は会社を経営する)
という文はどうでしょうか。
「run」には、走る、という意味と同時に、「何かを運転する」とか「経営する」という意味もあります。
この場合、「a company(会社)」が目的語です。
これを主語にすれば受け身の文が完成します。
A company is run by me. (会社は私によって経営される)
このように
能動態:主語(名詞1)+述語(動詞)+目的語(名詞2)
の文の場合は、目的語を主語にして、
主語(名詞2)+be動詞+一般動詞の過去分詞+by 名詞1
と主語と目的語の位置を逆転させることで、受け身の文として意味の通じる文が完成するのです。
まとめ
1.態とは、主語が①能動的に何かを行うのか、②受動的に何かをされてしまのか、を言い表す文で、2種類がある。
2.通常、一般動詞は、主語が何かを能動的におこなう、前提であるため、受動態が特殊な形となる。
3.受動態の作り方は、主語(名詞1)+be動詞+一般動詞の過去分詞+by 名詞2
4.能動態の文を受動態にして意味が通じるのは、能動態の文に目的語がある場合。
主語で使われた名詞と目的語として使われた名詞を入れ替えることで、意味が通じる受動態ができる。
今日のところは以上です!