【概要】
今日は、時制にある「完了」について説明します。
完了とは、話し手の目線は「現在・過去・未来」のある一地点でありながら、その時には「既に完了している」ことを表す時制で、日本語にはなじみがないので、日本人には分かりにくい時制です。
しかしよく出てくるため、是非、身につけたいところですので、今日は丁寧に説明したいと思います。
<英語の16の時制>
注意
述語を含むパートでは、時制の他、「態」を同時に考える必要があります。
「態」とは、動詞で表す動作を能動的に行うのか、受動的に行われるのか、を表現する方法です。
前回同様、今回も通常の形である「能動態」を前提に説明します。
「能動態」「受動態」は、時制の説明が一通り終わった後にやりますので、ご安心下さい。
<基本英文法のフレームワーク>
動詞の活用
まず最初に動詞の活用についておさらいしておきます。
動詞には大きく「be動詞」と「一般動詞」がありましたね。
それぞれ、原形、現在形、過去形、現在分詞、過去分詞といった活用がありました。
<be動詞の活用>
be動詞の活用の注意点は、主語によって使われるbe動詞が異なる点です。現在形・過去形はバリエーションが多い一方で、原形、現在分詞、過去分詞は主語が異なっても同じになります。
<一般動詞(take)の場合>
一般動詞の活用の注意点は、主語が3人称の単数で時制が現在の場合、動詞の最後に「s」や「es」が付くという点です。
<一般動詞(go)の場合>
「go」のように、動詞の最後が「o」で終わっている場合、主語が3人称で単数の場合に動詞の終わりに「es」を付けます。
今日は、上の動詞を使って例を見ていきますので、表を見て確認しながら進んで下さいね。
時制④:現在完了
「現在完了」という時制は、あくまで話し手が話したい時制は「現在(今)」でありながら、現在では、動詞で表現したい動作が既に完了していることを表すものです。あくまで大きなくくりで言えば、時制は「現在」です。「現在時制のバリエーションの一つ」と考えて良いと思います。
現在完了の形
現在完了は、
- have + 動詞の過去分詞
- has + 動詞の過去分詞(主語が3人称・単数の場合)
で表現します。
主語が3人称・単数の場合に、「have」の部分が「has」に変わります。
なぜ「have」なのか?
この「have・has」は、非常に特殊な単語です。
もともと「have」という単語は、「~を持っている」という意味の動詞です。
その後につく過去分詞は
1.~してしまった
2.~された
という2つ意味があります。
ですので、「have」は後ろに過去分詞をとって、「~してしまった、という状態を持っている」という意味を表している、つまり完了の意味を表している、と考えれば、それ程おかしくもないかな、と思います。
しかし、この「have」は、助動詞のようにも働きますが、助動詞とは明らかに異なる動きも見せますので、正直「特殊な動詞」と考えるのが無難です。
まあ、文法上の分類よりも、「have」「has」に動詞の過去分詞をつけることで、「完了」という概念を表現するんだ、と覚えてしまったほうが早いですね。
現在完了の例
それでは現在完了の例を見てみましょう。
- I have taken a medicine already. (私は既に薬を飲んでしまった)
「take」は「~をとる」という意味の動詞です。「take a medicine」で「薬を飲む」という意味です。
「already」とは「既に」という意味の副詞で、動詞「take」を修飾しています。その意味から完了との相性がよく、よく完了と一緒に出てくる副詞です。
「take」の後ろに「take」の目的語「medicine(薬)」という名詞がきていますので、「主語+述語+目的語」の第3文型ですね。
「medicine」は数えられる名詞です。この場合、「一つ」であることを表すために、冠詞「a」を付けています。
さて、「have taken」という現在完了の形にすることで、「もう薬は飲んでしまった、完了したんですよ」という意味を表しています。
では単なる過去時制とは何が違うのでしょうか?
- I took a medicine yesterday. (私は昨日薬を飲んだ)
「took」は「take」の過去形です。
この場合、話し手の目線は、過去のある一地点「yesterday(昨日)」にあります。
「昨日の時点で、薬を飲んだ」という事実を単に述べているだけです。完了していることを強調したいわけではありません。
現在形だとどうでしょうか。
- I take a medicine every day.(私は毎日薬を飲む)
これだと、毎日薬を飲むことを言っているだけで、今現在、既に飲んだのかどうかは不明です。これにも「完了」の考えがありません。
一方、現在完了の
- I have taken a medicine already.
では、話し手の目線はあくまで「現在、今」なのですが、「今ではね、『既に薬を飲んでしまった』という状態を持っているんですよ、つまりもう飲んでしまっているんですよ、完了しているんですよ」という意味となり、「完了していること」に重きを置く表現、完了したことを強調する表現だと言えます。
もう一つ分かりやすい例をあげます。
例2:
- He has gone already. (彼は既に行ってしまった)
まず、主語が3人称の単数「he」ですから、「have」ではなく「has」が来ていますね。
「彼は既に行ってしまって、今はもうここにはいませんよ」というニュアンスとなり、「彼が行く」という状態が完了していることを強調する表現となります。
時制⑤:過去完了
「過去完了」は、現在完了から、時制をそのまま過去にずらしたものです。
あくまで話し手が話したい時制、話し手の目線は「過去」です。過去のある一地点では、動詞で表現したい動作が既に完了していることを表すものです。あくまで大きなくくりで言えば、時制は「過去」です。「過去時制のバリエーションの一つ」と考えて良いと思います。
過去完了の形
過去完了は、
- had + 動詞の過去分詞
で表現します。
動詞の「have」の過去形「had」を使って、過去であることを表現し、後ろに動詞の過去分詞を従えることで、完了であることを表現します。
過去完了の例
それでは過去完了の例を見てみましょう。
- I had taken a medicine already ten minutes ago. (私は10分前には既に薬を飲んでしまっていた)
「already(既に)」と「ten minutes ago(10分前には)」という副詞が2つあります。
話し手の目線は過去の「ten minutes ago(10分前)」に置かれています。
「10分前には、既に薬を飲んでしまっていた、10分前にはもう完了していた」という意味になります。
「薬はちゃんと飲んだの!?」なんてお母さんに言われたのに対して、「何言ってるんだよ!10分前にはちゃんと薬を飲んでました、10分前には既に完了済みですよ!」という光景なんか思い浮かばべてもらうと分かりやすいでしょうか。
過去のある時点では「もう完了済み」であることを強調したい時に過去完了を使います。
時制⑥:未来完了
最後に「未来完了」です。
これも、現在完了から、時制をそのまま未来にずらすだけで基本的な意味は同じです。
あくまで話し手が話したい時制は「未来」であり、未来のある一地点では、動詞で表現したい動作が既に完了していることを表すものです。あくまで大きなくくりで言えば、時制は「未来」なのです。「未来時制のバリエーションの一つ」と考えて良いと思います。
未来完了の形
未来完了は、
- will + have + 動詞の過去分詞
で表現します。
動詞には「未来を表す活用」がありません。ですので未来を表す助動詞の「will」を使い、完了の形「have + 過去分詞」を付けるのです。
未来完了の例
それでは未来完了の例を見てみましょう。
- I will have taken a medicine already tomorrow. (私は明日には既に薬を飲んでしまっているだろう)
「already(既に)」と「tomorrow(明日には)」という副詞が2つあります。
話し手の目線は未来の「tomorrow(明日)」に置かれています。
「明日には、もう薬を飲んでしまっている状態だ、もう完了しているだろう」という意味になります。
これも単純に
- I will take a medicine tomorrow.(明日、薬を飲むつもりだ)
というよりは、「何も心配いらないよ、もう明日にもなれば、すっかり薬を飲んでしまっているんだから。明日には完了しているんだから」というニュアンスで、これもはやり「完了していること」を特に強調したい時に使う表現となります。
まとめ
- 現在完了
- 現時点で既に完了していることを表現する
- have + 動詞の過去分詞
- has + 動詞の過去分詞(主語が3人称単数の時)
- 過去完了
- 過去のある一地点で既に完了していることを表現する
- had + 動詞の過去分詞
- 未来完了
- 未来のある一地点で既に完了していること表現する
- will + have + 動詞の過去分詞
- 単に、現在形、過去形、未来形を使うより、「完了していること」を強調したい時に完了を使う。
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