【概要】
これまで、英文の型通りに英文を作る作業ステップを表現した「基本英文法のフレームワーク」に沿って、英文法の基本をざっとみてきました。
<基本英文法のフレームワーク>
平叙文で肯定する文の場合、つまり普通に断定する文の場合、簡単な文であれば概ね、基本英文法のフレームワークに沿った形をしています。
主語があり、述語があり、述語によって、目的語や補語の有無が決まり、そして最後に副詞や前置詞句で文を締めくくります。
今日はおさらいとして、これまで見てきた文法のルールをさっと振り返ります。
主語を決める
文の種類が決まったら、英文を作る際にまず最初にすることは主語を決めることです。
主語は文を作る時に必須になる要素です。文には必ず主語があります。後々説明しますが、命令文や口語の場合、目に見えて主語に相当する単語がない場合でも意味の上必ず主語がなくてはなりません。
主語に関するルールを説明します。
- 主語とは、文の主題、述語の主体のこと。「何がなんだ」「何がどうする」と言った時の「何が」に当たる部分のこと。
- 主語になれるのは「名詞の仲間だけ」。基本英文法では、「名詞」と「代名詞」だけと考えて良い。
- 名詞とは「ものの名前・呼び名」、代名詞とは「人や物を指し示す語」のこと。例えば、「book(本)」(名詞)、「it(それ)」(代名詞)などが、主語になれる単語。
- 名詞には、以下5種類がある。
- 普通名詞(bookなど)
形があって目にみえて、簡単に数えられるもの - 集合名詞(familyなど)
普通名詞が集まって別の名前が付いたもの - 物質名詞(waterなど)
形があって目に見えるが、簡単には数えられないもの - 抽象名詞(loveなど)
形がなくて目に見えないもの - 固有名詞(Japanなど)
世界に一つしかないもの - 上2つは数えられる名詞、下3つは数えられない名詞。
- 普通名詞(bookなど)
<名詞の種類>
- 数えられる名詞の場合、言いたい言葉が、単数(一つ)なのか複数(二つ以上)なのかが重要。
- 単数なら「a」か「an」をつけて、複数なら冠詞をつけずに名詞の最後に「s」をつける。これで単数か複数かのシグナルを聞き手に送る。
- a book:本が一冊であることを示唆している
- books:本は二冊以上、複数であることを示唆している
- an apple:りんごは一つであることを示唆している
- apples:りんごは二つ以上であることを示唆している
- 冠詞「the」は、その名詞が既に会話に登場してきており、特定できる状態にあることを意味する。名詞の前につけて、特定されている名詞について話していることがわかるシグナルを聞き手に送る役目がある。
- the book:既に特定されてた本で、かつ一冊あることを示唆している
- the books:既に特定された本で、かつ複数冊であることを示唆している
- the apple:既に特定されたりんごで、かつ一個であることを示唆している
- the apples:既に特定されたリンゴで、かつ複数冊であることを示唆している
- 数えらない名詞の場合、不特定である場合は冠詞はつけない。複数という考えがないので名詞の最後に「s」もつけない。
- 「the」は数えられない名詞にも付けることが可能。
- love:○、正しい(「love」は抽象名詞、数えられない名詞)
- the love:○、正しい
- a love:×、間違い
- loves:× 、間違い
- 固有名詞の場合は、通常冠詞は付けず、始まりの文字は大文字。
- Japan:○、正しい(「Japan」は固有名詞、世界に一つしかない)
- japan:×、間違い
- a Japan:×、間違い
- the Japan:×、間違い
整理すると、以下が名詞の形の全パターンです。
<名詞が登場するパターン>
<一般名詞(数えられる名詞)のパターン>
- a book (ある一冊の本)
- books(ある複数の本)
- the book (特定された一冊の本):最後に「s」がないので単数だと分かる
- the books(特定された複数の本):最後に「s」があるので複数だと分かる
<集合名詞(数えられる名詞)のパターン>
- a family(ある一つの家族)
- families(ある複数の家族):最後が「y」で終わる単語は、「y」を「i」に変えて「es」を付ける
- the family(特定された一つの家族):最後に「es」がついていないので単数だと分かる
- the families(特定された複数の家族):最後に「es」がついているので複数だと分かる
<物質名詞(数えられない名詞)のパターン>
- water(特定されていない水)
- the water(特定された水)
<抽象名詞(数えられない名詞)のパターン>
- love(特定されていない愛)
- the love(特定された愛)
<固有名詞>
- Japan(日本)
- 指示代名詞は全部で12種類しかない。
- 指示代名詞を主語として使う時は、「主格」を使う。
- 指示代名詞には冠詞は付けない。
<指示代名詞を主語として使う場合(主格)>
述語を決める
主語が決まったら、次に述語を決めます。
主語同様に文には必ず述語が必要です。口語の場合、述語がない場合があることはありますが、意味上述語は必要です。
述語の主なルールは以下の通りです。
- 述語になれるのは動詞だけ。
- 動詞には、主語が行う動作を表す一般動詞、主語の状態を表すbe動詞がある。
- 述語を考える場合、同時に「態(たい)」と「時制」も考える必要がある。
- 態とは、その動作を「能動的(主体的)に行う」のか「受動的(受け身的)にやられた」のかを表現する方法。前者を能動態、後者を受動態という。
- 動詞は通常は「能動態」が前提となっている。
- 時制とは時の概念。全部で16種類ある。
<英語の時制:全16種類>
- 仮定法とは、実際とは異なることを想像して「もし~なら、xxxであっただろう」という方法。
- 一般動詞の場合で、主語が3人称で単数、時制を現在形とする能動態の時のみ、動詞の最後に「s」を付けて、3人称単数現在であることを聞き手にシグナルする。
- be動詞は、主語によって使う形が決まっている。
- 以上のように、動詞は「主語」と「態」と「時制」によって形が変わる、これを「動詞の活用」という。
- 動詞の活用は全5種類ある。
- 原形:もともとの動詞の形。
- 現在形:時制が現在の時に使われる形。
- 過去形:時制が過去の時に使われる形。
- 現在分詞:時制が進行形である時に使われる形。
- 過去分詞:受動態か完了形の時に使われる形。
<be動詞の活用>
<一般動詞の活用:run(走る)の場合>
- 動詞の活用には「未来形」がない。将来のことを言いたい場合は、「助動詞:will」を使う必要がある。
- 未来を表す「will」の他にも、よく使われる助動詞がある。助動詞は「動詞に一定の意味を加える語」で基本的なものが9種類ある。
<助動詞:基本9種類>
- 助動詞は動詞の前に置く。
- 助動詞は同時に並べて2つ以上使うことはできない。
- 助動詞を使った場合、動詞は「原形」にする。
- He runs. (彼は走る):現在形。動詞に3人称単数現在の「s」が付いている。
- He can run. (彼は走ることができる):助動詞「can」を使ったので動詞は原形とする。
- He will run. (彼は走るだろう):助動詞「will」を使ったので動詞はやはり原形となる。
- He will can run. :×間違い。助動詞を2つ以上並べて使うことはできない。
- 動詞によっては「主語+述語」で文が完成してしまう場合がある。これを第1文型という。
- He runs. (彼は走る):第1文型。
補語が必要な場合
述語である動詞によっては、後ろに補語や目的語が必要な場合があります。
まずは補語に関するルールです。
- 動詞によっては補語を必要とする場合がある。
- 補語とは主語か目的語に関して補足説明して意味を完成させる語。
- 補語になれるのは「名詞・代名詞」と「形容詞」だけ。
- I am a student. (私は生徒だ)
「a student(一人の生徒)」(名詞)が補語。主語「I」を補足説明。 - She is beautiful. (彼女は美しい)
「beautiful(美しい)」(形容詞)が補語。主語「She」を補足説明。
- I am a student. (私は生徒だ)
- 補語には、主語を補足説明する場合には「主語=補語」の関係が成り立つ。
- 代名詞を補語とする場合、代名詞の「目的格」を使う。
- This is it. (これがそれだ):「it」は目的格。
- It is her. (それは彼女だ):「her」は目的格。
- 「主語+述語+補語」の形をとる文を第2文型という。
目的語が必要な場合
次に目的語に関するルールです。
- 動詞によっては目的語を必要とする場合がある。
- 目的語とは動詞が表す動作が及ぶ対象となる語。
- 目的語になれるのは「名詞の仲間」だけ。
- 目的語は通常、動詞のすぐ後ろに置く。
- 「りんごを食べる」の「りんご」が英語で言う目的語。
- He will eat an apple. (彼はりんごを食べるだろう)
- 名詞を目的語として使う場合、名詞のルールである、冠詞のあり・なし、単数・複数を考慮すれば良く、その他、目的語として使うからといって、形を変えるなど、ルールはない。
- 代名詞を目的語として使う場合、代名詞の目的格を使う。
- He will eat it. (彼はそれを食べるだろう):「it」は目的格。
- I love her. (僕は彼女を愛している):「her」は目的格。
<代名詞の目的格>
- 「主語+述語+目的語」の形をとる文を第3文型という。
目的語を二つ必要とする場合
動詞によっては、目的語を二つ必要とする場合があります。
目的語を二つ必要とする場合のルールは以下の通りです。
- 目的語を二つ必要とする動詞の代表は「give(あげる、与える)」
- 「誰に」「何を」と2つの目的語を必要とする。
- I will give her the book. (私は彼女にその本をあげるつもりだ)
- 目的語になれるのは「名詞・代名詞」だけであり、名詞・代名詞を使う時のルールは他と変わらない。
- 「主語+述語+目的語1+目的語2」の形をとる文を第4文型という。
目的語+補語を必要とする場合
動詞によっては、目的語+補語を必要とする場合があります。
ルールは以下の通りです。
- 「目的語+補語」が必要となる動詞の例 は「paint(色を塗る)」。
- I will paint the wall white. (私はその壁を白く塗るつもりだ)
- I will paint it white. (私はそれを白く塗るつもりだ):代名詞を使った場合
- 目的語と補語の間には「目的語=補語」の関係が成り立つ。
- 「主語+述語+目的語+補語」の形をとる文を第5文型という。
修飾語を置く
必要に応じて修飾語を置きます。
代表的な修飾語には、動詞や形容詞を修飾する「副詞」と、名詞を修飾する「形容詞」があります。
基本英文法ではまずは「副詞」と、副詞的な意味を持つ前置詞句(前置詞+名詞)の副詞的用法に焦点を当てて説明しました。
修飾語に関するルールは以下のようなものがあります。
- 修飾語とは、主語、述語、補語、目的語には分類されない語のこと。
- 第1文型から第5文型には考慮されない。無くても一応文としては完成する。
- 修飾語の代表は副詞。副詞は動詞や形容詞を修飾する。
- He runs fast. (彼は速く走る):「速く」は「走る」という動詞を修飾する副詞。
- She is very beautiful. (彼女はとても美しい):「とても」は「美しい」という形容詞を修飾する副詞。
- 前置詞を使って前置詞句を作り、副詞のように動詞を修飾することができる。
- I will put the apple on the table. (私はそのりんごを、その机の上に置くつもりだ):「on the table」は前置詞句、動詞「put(置く)」を修飾している。
- 前置詞とは「名詞の前に置くことば」の意味。後ろには必ず「名詞・代名詞」がくる。
- 基本的な前置詞は全部で9つある。
<基本的な前置詞>
- 前置詞の後ろに名詞を置く場合、単数・複数、冠詞の有無に気を付ける。
- 前置詞の後ろに代名詞を置く場合、代名詞の目的格を使う。
まとめ
ざっと駆け足で基本英文法(1周目)のおさらいをしました。
これで英文法の一番基本的な部分はかなり網羅できました。
しかし、もう少し説明を加えないとならない部分もあります。
例えば「述語」です。特に時制については「理論編」として、考え方だけの説明しかしていません。実際、英語でどのように表現するのか?について、説明していません。
これを説明するには、一回全体をして、他の部分を説明する必要があったからです。
おそらく、1周目にいきなり説明するよりは、すーっと頭に入ってくるはずです。
「基本英文法(2周目)」では、述語部分を含めて、他についても、もう少し補足で説明を加えていきます。
それでかなり理解が深まると思います。
このように英文法は、ざっと全体感を把握するためにかなり基礎的な部分を通して説明し、2回目、3回目で、前に習ったことを復習していきながら、徐々に深いところを学習していくのが良いのです。
それでは次回以降、おたのしみに!
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